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タイレノールAなどのアセトアミノフェン単独含有製剤の買い方:最適な商品を選ぶコツ

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薬剤師のPHALがご紹介します

皆さん解熱鎮痛薬は何を買われていますか?

解熱鎮痛薬は頭痛や歯の痛み、関節痛、生理痛、風邪による発熱など、とてもお世話になる機会の多い市販薬の一つですよね。今回は解熱鎮痛薬の内、アセトアミノフェンが単独で配合された商品(:タイレノールAなど)をご紹介します。

ちなみに、アセトアミノフェンという成分の特徴については以前、こちらの記事にまとめています。

こんな疑問をお持ちではないですか?
  • アセトアミノフェンが含有されている市販薬にはどのようものがあるの?
  • それぞれの市販薬はどのように使い分ければいいの?
  • 医療用のお薬との違いは?

今回はアセトアミノフェン含有製剤に対してこのような疑問をお持ちの方のために、このお薬の特徴について解説していきます。

はじめに

安全性に優れる解熱鎮痛薬

アセトアミノフェンの最大の特徴は胃腸や腎臓への負担が軽く、安全性に優れることでした。それではアセトアミノフェンを含有している市販薬にはどのようなものがあるでしょう。

アセトアミノフェンを含有している市販薬は実はたくさんあります。その効能や効果はほとんど同じですが、これからご紹介するお薬のちょっとした知識があれば、その微妙な差に注目して自分に合ったお薬を選ぶことも可能になるかもしれません。

それでは早速ですが、アセトアミノフェン含有の市販薬についてご紹介し、自分に合った薬のご購入のコツをお教えします。

なお、説明を省略してどの商品を買えばよいかだけを知りたい方は一番下のまとめをご覧ください。

アセトアミノフェン含有商品の種類

市販薬の購入を検討されるときは、まずは商品裏面などから薬効成分名を確認してみてください。同じ解熱鎮痛薬でも様々な成分があることが分かります。今回はアセトアミノフェンを含有している商品についてご紹介します。

アセトアミノフェン含有商品は大きく分けて、2つに分けられます。

  1. アセトアミノフェンのみを薬効成分とする商品
  2. アセトアミノフェン以外の薬効成分が配合されている商品

以下でそれぞれの商品のリストをお示しします

①アセトアミノフェンのみを薬効成分とする商品

アセトアミノフェンのみを含有している商品には以下の5つの商品があります。

  • タイレノールA (販売:ジョンソン・アンド・ジョンソン(株)))
  • ラックル速溶錠 (販売:日本臓器製薬(株)))
  • バファリンルナJ (販売:ライオン(株))
  • 小児用バファリンチュアブル (販売:ライオン(株))
  • 小児用バファリンCⅡ (販売:ライオン(株))

これらはいずれも第2類医薬品に分類されています。

②アセトアミノフェン以外の薬効成分も配合されている商品

アセトアミノフェン以外の成分と一緒に配合されている商品は900種類以上あり全てを書き切れませんが、以下のようなお薬があります。

  • 新セデス錠 (販売:シオノギヘルスケア(株))
  • ナロン錠(販売:大正製薬(株))
  • コンタック総合感冒薬
  • ベンザエースA錠
  • 新ルルA など

これら配合成分の説明や特徴などはまた別の機会にご紹介したいと思います。今回は①のアセトアミノフェン単独を薬効成分としているお薬についてご紹介します。

タイレノールAやラックル速溶錠を買うべきなのはこんな人

結論から言うと、タイレノールAなどのアセトアミノフェン製剤を買うべきなのは次のような人です。

アセトアミノフェン単独の含有製剤を買うのにオススメな人
  • 胃への負担ができるだけ少ない痛み止めが欲しい
  • 小児や乳幼児に使用可能な痛み止めを探している
  • まだ痛み止めを一つも試しておらず、とりあえず何か試したい。

アセトアミノフェンはその安全性から医療機関でも処方頻度の多い痛み止めですが、医療用と家庭用の大きな差は1回量の違いです。当然市販で売られているお薬は1回の量に制限があり、強い痛みには効果不十分なことがあります。

今、痛みがあり、とりあえず何か副作用の少ない痛み止めから試したいという方にはピッタリの成分といえます。

各種アセトミノフェン製剤の違い

それでは病院における処方薬のアセトアミノフェンと市販薬のアセトアミノフェン、または市販薬のアセトアミノフェン単独配合製剤がどのように使い分けられるのかを詳しく説明します。

病院の処方薬と市販のお薬におけるアセトアミノフェンの違い

まずはお医者さんが処方するお薬と市販のお薬との違いをもう少し詳しく確認します。最初は効能と効果からです。

処方薬と市販薬に違いはあるのか~効能・効果~

● 処方薬

1.頭痛,耳痛,症候性神経痛,腰痛症,筋肉痛,打撲痛,捻挫痛,月経痛,分娩後痛,がんによる疼痛,歯痛,歯科治療後の疼痛,変形性関節症の鎮痛

2.急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の解熱、鎮痛

3.小児科領域における解熱・鎮痛

●  市販薬(タイレノールA、ラックル、バファリンルナJなど)

1)頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽のど痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・捻挫痛・外傷痛の鎮痛
2)悪寒・発熱時の解熱

市販薬については商品によって効能効果の順番が違うものがありますが、基本的には5つの商品に効能・効果の違いはありません。お医者さんの処方薬と比較しても、急性上気道炎=風邪と置き換えてみれば、多少書き方に違いはありますが、大きな差がないといえます。

処方薬には『3.小児科領域における~』の効能効果がありますが、これについては市販薬にも小児用バファリンがあり、その効能効果は他の商品と変わりないため、実質、処方薬と市販薬で効能・効果は同等と考えられます。

次に、用法・用量の比較です。

処方薬と市販薬に違いはあるのか~用法・用量~

● 処方薬

1.成人の鎮痛の場合:1回300〜1000mgを経口投与し、投与間隔は4〜6時間以上とする(1日総量として4000mgを限度)

2.急性上気道炎の解熱鎮痛の場合:1回300〜500mg 頓用(原則、1日2回まで。1日最大1500mgを限度)

3.幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10〜15mg、投与間隔は4〜6時間以上とする(1日総量として60mg/kgを限度)

●  市販薬(タイレノールA、ラックル、バファリンルナJなど)

15歳以上:1回300mg、1日900mgまで

11歳以上~15歳未満:1回200mg、1日600mgまで

7歳以上~11歳未満:1回100~150mg、1日300mg~450mgまで

3歳以上~7歳未満:1回100mg、1日300mgまで

3歳未満:服用しないこと

処方薬が1回最大量を1000mgとしているのに対し、市販薬は300mgまでとしています。また、1日量では処方薬4000mgに対して市販薬は900mgまでと少なく設定されています。

これは誰でも買うことのできる市販薬の安全面に配慮された用量設定です。決して同じ成分だからといってこれを参考に処方薬の量を飲まないようにご注意ください。

なお、アセトアミノフェン単独で含有の市販薬で効果が十分ではない場合、もう少し強めの痛み止めも市販薬として購入可能です。その際は、まずはドラッグストアの薬剤師に相談することをお勧めします。

市販薬のアセトアミノフェンのみを薬効とする商品5種類の使い分け

市販薬としてアセトアミノフェンのみを薬効成分として販売されているお薬は先ほどお示しした5種類です。それぞれ使い分けはあるのでしょうか。詳しく確認してみましょう。

まずは表にそれぞれの商品の特徴をまとめました。

まずは、効能・効果です。鎮痛についてはたくさんの記載がありますが、それぞれ上から5個目までを書いています。各社が売りにしたいものが前半にありますが、全体を見ると商品ごとに大きな差はありません。『バファリンルナJ』では生理痛を先頭にして、特に女性を対象にしているようです。小児用では先に解熱の効果の記載があります。子供の場合は痛みより風邪に使用されることが多いからでしょう。

次に用法・用量1錠中の成分についてですが、まずは各商品で年齢制限があることに注意です。『タイレノールA』と『ラックル』では15歳未満、『バファリンルナJ』では7歳未満、小児用バファリンはいずれも3歳未満には使えません。また、『タイレノールA』と『ラックル』では1錠中の成分が300mgであるのに対し、『バファリンルナJ』では100mgです。15歳以上がバファリンルナJを使用する場合は3錠飲む必要があるため、『タイレノール』や『ラックル』を購入したほうが良いかもしれません。小児では『バファリンチュアブル』の方が飲む錠数が少なくて済みます。

次に各商品の特長についてです。『タイレノールA』に記載がある特徴はアセトアミノフェン製剤共通の特徴といえます。『ラックル』の特徴は速溶錠であり、口の中で溶かしてから飲めるため、非常に飲みやすいことです。『バファリンルナJ』はさらにチュアブル錠であり水なしで飲めます。小学生~中学生程度の女性を想定して、学校生活でも眠くならないとの記載がありますが、これはいずれの商品にもあてはまります。小児用バファリンについては、『バファリンチュアブル』が水なしで飲める商品となっています。

まとめ~アセトアミノフェン単独製剤の買い方~

それでは総括です。それぞれの製品の違いをまとめると、アセトアミノフェン単独配合製剤の購入は以下のようにお勧めします。

基本的には、年齢、価格、飲みやすさの3点で購入する商品が異なります。

15歳以上は『タイレノールA』か『ラックル』がお勧めできます。特にラックルは速溶錠で飲みやすい製剤となっています。

15歳未満では『タイレノールA』と『ラックル』は使用できません。飲む錠数や価格を考えると7歳以上から15歳未満には『バファリンルナJ』が推奨できます。

7歳未満の小児では必然的に小児用バファリンとなります。特に小児では薬を飲むという行為に抵抗感があるお子さんも多いため、個人的には『チュアブル』を推奨します。

なお、前半にも記載しましたが、アセトアミノフェン製剤は他の鎮痛成分を含んでいない分、効果もマイルドな傾向があります。今回紹介した5つの商品で効果が不十分な場合などは、薬剤師に相談の上、異なる成分の商品の検討や病院への受診を推奨します。

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