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病院薬剤師のAutmです
こんにちは。
この記事に辿り着いたということは、あなたは便秘に悩んでいるということですね。
世の中には多くの便秘薬があり、便秘で悩んでいると便秘薬を試したくなりますよね。
その気持ちは私もよくわかります。
その気持を汲み、当サイトでも便秘薬について解説していこうと思うのですが、便秘薬を購入するまえに一旦立ち止まってください。
なぜなら、便秘は生活習慣を変えるだけで改善することがよくあるからです。
また、たかが便秘薬といえど様々な副作用があったり、一度使うとクセになったりすることもあるからです(詳細についてはまた今後の記事で解説します)。
まず、この記事で便秘薬を買う前に試してほしい8つのことを挙げてみようと思うので、ぜひまだ試してないことがあれば試してみてください。
全て特別な費用はかからずにできるので、軽い気持ちで試してみるのが良いと思います。
それでは本文へどうぞ!
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目次
便秘薬を飲む前に試してほしい8つのこと
食物繊維をとる
食物繊維とは何でしょうか。
Wikipediaでは「人の消化酵素によって消化されにくい、食物に含まれている難消化性成分の総称」とされています。
食物繊維には便に適切な形状を与えたり、腸に刺激を与えて排便を促進させる作用があります。
ある文献には次のように書かれていました。
大腸通過時間が正常にもかかわらず排便回数や排便量が少ない大腸通過正常型便秘症では、食物繊維摂取不足が原因であることが多く、食物繊維摂取量の適正化(18 ~ 20g/ 日が目標)で症状が改善する場合が多い。
味村俊樹「慢性便秘症の診断と治療」健栄製薬株式会社
「大腸通過正常型便秘症」とはその名の通り、便が大腸を通過する時間が正常なのに便秘になっているタイプの便秘のことですが、このタイプの便秘では食物繊維の不足が便秘の原因であることが多いとされています。
そのため、食物繊維を摂る量を増やすことで改善する場合が多いと言われています。
実際に食物繊維の摂取量に関しては次のような研究結果が出ています。
食物繊維摂取量が多い(中央値20g/日)の女性は、少ない(中央値7g/日)の女性よりも便秘を経験する可能性が低かった(PR = 0.64、95%CI = 0.57-0.73)。
Women in the highest quintile of dietary fiber intake (median intake 20 g/day) were less likely to experience constipation (PR = 0.64, 95% CI = 0.57-0.73) than women in the lowest quintile (median intake 7 g/day).
Am J Gastroenterol. 2003 Aug;98(8):1790-6.
食物繊維の摂取量が多いほうが便秘の人が少ないという結果となっています。
やはり、食物繊維は便秘に影響していると言って良さそうです。
そのため、食物繊維が不足している人はまず意識して食物繊維を摂るようにしてみると良いかもしれません。
ただ、ここで少し注意が必要な点があります。
食物繊維を摂れば便秘が100%解決!となれば良いですよね。
しかしそうではなく、効果があるとする報告がある反面、重度の便秘では腹部膨満感などの症状を増悪させることがあるとの報告もあるようです[4]。
そのため、普段あまり食物繊維を摂取しない人は一気に目標の20gを摂取しようとするのではなく、少しずつ様子を見ながら増量していくようにしましょう。
食品に含まれる食物繊維量は詳しく解説しているサイトがあるのでそちらを参照してください。一例を下に示しています。
- ごぼう1本:10.3g
- にんじん1本:3.5g
- なめこ1パック:3.5g
- アボカド1個:12.2g
- バナナ1本:1.7g
- りんご1個:4.5g
- 納豆1パック:3.0g
- いりごま大さじ1杯:1.3g
大塚製薬 食品に含まれる食物繊維量一覧より引用
乳酸菌食品・発酵性食品をとる
乳酸菌食品とはいわゆるヨーグルトやチーズ、発酵性食品とは味噌や納豆などのことです。
乳酸菌食品や発酵性食品は腸内フローラと呼ばれる腸内の細菌の構成を是正する作用があり、それによって排便状況を改善します。
そのため、乳酸菌食品や発酵性食品を摂ることで便秘の改善が期待できます。
代表的な食品の例を挙げておきます。
- 納豆
- 醤油
- 味噌
- 鰹節
- 塩辛
- 漬物
- ヨーグルト
- チーズ など
味噌や醤油などいわゆる日本食には発酵性食品が多いです。
- 乳酸菌飲料
- ヨーグルト
- チーズ
- 納豆 など
乳酸菌飲料。一言でいうとヤクルトですね。
水分をとる
想像してみてください。
水分が不足すると便が硬くなって、便を出しにくくなって、それが重なるとどんどん便が溜まっていってしまいますよね。
イメージだけではなく、実際に水分摂取不足が便秘を引き起こす原因として報告されています。
また、水分不足が便が腸を通過する時間を遅らせたり、排便回数や量を減少させることがわかっているため、水分を摂取することでこれらの症状が改善することが報告されているようです[4]。
そのため、普段あまり水分をとらないという人は時間を決めて水分摂取したり、水分を含む食品を意識してとるようにしましょう。
朝食をしっかり食べる
朝ごはんは時間がないから食べないという人は多いのではないでしょうか。
私の周りの人も朝食は食べていないという人が結構います(私は毎朝しっかり食べています)。
これについても研究結果があり、便秘の人は朝食の欠食率が便秘ではない人と比較して高いことが報告されており、朝食をしっかり食べることは排便習慣の確立に重要であるとされています[2]。
また、女性ではダイエット経験のある人や昼食摂取の少ない人でも便秘が多く、1回の咀噌回数が30回以上の人には快便が多いと報告されているようです[2]。
「3食きちんとしっかり噛んで食べる」という子供のときに親に言われたようなことが、実は便秘解消には大切なことなのです。
そんなこと言っても少食だからあまり食べられないという人は、とりあえず1口で30回以上モグモグすることから始めてみても良いかもしれません。
運動する
あなたは普段運動していますか?
適度な運動は自律神経への刺激と大腸壁への直接刺激により排便を促進することがわかっています。
また、運動のあとに休息することで、副交感神経が活性化して排便が促進されると考えられています。
そんな馬鹿なと思う人もいるかもしれませんが、実際に女性における検討で身体運動が便秘症状を改善させたという報告もあるようです[2]。
仕事が忙しくて帰るのが遅く運動する時間なんてないという人も、家の中で軽い運動ならできるはずです。
今はYoutubeでトレーナーの人など様々な人が数分〜数十分の筋トレや運動などの動画をUPしているので、それらを見ながら帰宅後の数分だけでも運動してみると何かが変わるかもしれません。
仮に便秘が解消されなくても運動したり筋トレしたりすることはメリットがたくさんありますしね。
ぜひ習慣化してしまいましょう。
さあ、レッツ運動!
十分な睡眠をとる
十分な睡眠、とれていますか?
実は睡眠も便秘と関連があるとされていて、寝てる間には副交感神経が優位になって大腸の運動が持続するため、規則的な睡眠をとることで便が出しやすくなるようです。
逆に睡眠が浅かったり、ストレスで寝られなかったりすると交感神経が優位になり大腸の働きが鈍って便秘になりやすくなります。
そのため、ショートスリーパーで普段3時間しか寝てなくて便秘という人は睡眠不足が便秘の原因になっているかもしれません。
ぜひ意識して普段より睡眠時間を多く取ってみましょう。
前傾姿勢をとる
これは私も最近知ったのですがトイレで便座に座ったとき、前傾姿勢を取ることで直腸と肛門がまっすぐになり排便しやすくなります。
ロダンの「考える人」のポーズをとるべしとも言われています。
また、足もとに踏み台を置いて脚を上げ、お腹と太ももの角度を約35度とするのが排便的にはベストとされているようです。踏み台が無ければつま先を立てることでも構わないとのこと。
これは手間も時間も掛からずにすぐ試すことができると思うので、次にトイレに行ったときはぜひ試してみてください。
腹壁マッサージ
腹壁マッサージは大腸壁を直接刺激して平滑筋収縮を促すことで便の移動性を高めると考えられています。
「の」の字をお腹に描きながら手を移動させる腹壁マッサージを1日15分、週5日程度行うことで便秘改善に有効だったという報告があるようです。
文字だとわかりづらいと思いますが、動画で知りたい人はYoutubeで「腹壁マッサージ」と検索すると色々なYoutuberが投稿しているのでそちらを視聴してみるのも良いかもしれません。
まとめ
今回ご紹介した便秘薬を飲む前に試してほしい8つのことをまとめると以下のようになります。
- 食物繊維をとる
- 乳酸菌、発酵性食品をとる
- 水分をとる
- 朝食をしっかりとる
- 運動する
- 十分な睡眠をとる
- 前傾姿勢をとる
- 腹壁マッサージ
どうだったでしょうか?
言われてみると当たり前のことばかりかもしれません。
どれも簡単にできるものばかりなので、便秘に悩んでいてこれらのことをまだ試していない場合には、便秘薬を買う前にぜひ試してみてください。
これらを全て試したけど全然変わらない、便秘薬を飲みたい。
という方は今後便秘薬についての記事を書いていくので参考にしてください。
ではまた便秘薬の記事でお会いしましょう。
参考文献
[1]寺澤路子「慢性便秘症の新規治療薬 – その機序と使い分け」臨床栄養 134(7): 926-928, 2019.
[2]千葉俊美「生活習慣と慢性便秘」診断と治療 106(7): 821-825, 2018.
[3]Laurent Dukas et al, Association Between Physical Activity, Fiber Intake, and Other Lifestyle Variables and Constipation in a Study of Women, Am J Gastroenterol. 2003 Aug;98(8):1790-6.
[4]Stefan A Müller-Lissner et al, Myths and Misconceptions About Chronic Constipation, Am J Gastroenterol. 2005 Jan;100(1):232-42.