胃薬解説!ガスター10:有効性や注意事項について

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胃薬の市販薬といえばガスター10

皆さん胃薬は使うことがありますか?

胃薬といえばどのようなお薬を思い浮かべるでしょうか。市販薬の胃薬には実に様々な成分のものがありますが、第一三共さんのガスター10は非常に多くの方に知られています。

今回はこのお薬の使いどころや欠点、病院での使われ方や如何にしてここまで多くの方に知られるお薬となったかをご説明します。

ガスター10の効果と有効性!

まずはガスター10の効果から説明します。

ガスター10の成分は胃に対してどのように作用するの?

まず、ガスター10はどのような効果を示すお薬か説明します。ガスター10の成分はファモチジンという成分です。これは胃酸の分泌を抑制することで胃を保護する効果があります。

そもそも胃酸は食物の消化に必要なものですが、その中身は塩酸などが成分となっています。塩酸は酸であり、当然人体にとって害となるため、胃では常にそれを中和できるアルカリ性の重炭酸塩などが分泌されています。

胃は胃酸などの攻撃因子とそれらから胃を保護する防御因子のバランスによって正常な状態が保たれています。

では、もし何らかの原因でこのバランスが崩れてしまうとどうなるでしょうか。防御因子に比べて多くなりすぎた胃酸はたちまち胃を荒らし始めます。このように胃潰瘍や十二指腸(胃のすぐ出口)潰瘍、逆流性食道炎(胃の入口)が起こります。

バランスを崩す原因にはストレスや飲酒、不規則な食生活、睡眠不足、喫煙、手術歴など様々な要因があります。

ファモチジンは過剰な胃酸の分泌を抑制することでこのバランスを整えるお薬です。

成分、用法・用量

市販薬『ガスター10』の成分と用法・用量については次の通りです。

成分:ファモチジン(1錠中10mg)

用法用量:胃痛、もたれ、胸やけ、むかつきの症状が現れた時、次の量を、水またはお湯で服用してください。

 成人(15歳以上80歳未満):1錠(1日2回まで)

 小児(15歳未満)、高齢者(80歳以上):服用しないでください

*内服後、8時間以上たっても治まらないときはもう1錠服用してください

*症状が治まった場合は服用をやめてください

*3日使用しても症状の改善がみられない場合は、服用をやめて、医師または薬剤師に相談してください

*2週間を超えて続けて服用しないでください

どのような有効性が明らかなっているのか

では、ガスターはどの程度の有効性が知られているのでしょうか。以下の表は医療用で使われる同成分のお薬の臨床試験の結果から一部を抜粋したものです。

いずれも80%以上の有効性がありますが、注意点としては、市販薬のガスター10の飲み方は1回10mgで1日2回までで長期の連用は本来の目的とは異なります。上記の表では一番下のデータがより市販薬の使用に近いと考えられます。

このデータからは少なくとも、胃炎の胃粘膜病変には80%程度の改善が見込まれることが想定され、市販薬の胃薬の中では非常に効果が期待できる胃薬といえそうです。

ガスター10の副作用。使い方の注意は?

次に、ガスター10にはどのような注意点があるのでしょうか

高齢者には注意が必要

ガスター10には65歳以上には使用前に相談することが必要となっています。その最大の理由は腎臓の機能低下のためです。

ガスター10の成分『ファモチジン』は腎臓から排泄されるお薬です。腎臓の働きが弱くなればなるほどファモチジンの体内からの排泄は遅くなり、体の中にお薬が溜まりやすい状態が続きます。この状態では予期せぬ副作用が起こりやすくなります。

この腎機能の低下は加齢により徐々に起こります。60歳代では30~40%、80歳代では50~70%程度のヒトで腎機能が中等度低下とされる状態になるというデータもあります。

また、副作用としては認知機能の低下やせん妄と呼ばれる状態を引き起こす可能性があることが知られています。

これらの副作用の内、特に認知機能の低下は基本的には長期的な使用における注意ですが、市販薬の場合は短期的な使用が前提とされています。

ガスター10などの市販の胃薬は短期使用が前提

効果の項目でお示しした通り、ガスター10は胃粘膜の荒れなどに強い効果がのあるお薬です。市販薬は一時的な胸焼けなどを感じた時の使用が推奨されており、長く続く場合は医療機関の受診が必須と考えます。

ガスター10は症状の軽減が目的のお薬です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍をガスター10を飲むことで治すことはできないと考えるべきでしょう。また、場合によっては胃癌などの重大な病気が隠れていることもあります。

短い期間で5錠程度使用しても、症状が繰り返される場合などは医療機関の受診を推奨します。

妊婦・授乳婦への使用

添付文書上、妊婦・授乳婦への使用は行わないこととされています。

医療機関では、より詳細な資料から妊婦ではリスクよりも有益性があると判断される場合は使用されることがありますし、授乳への移行量は軽度あるものの臨床上弊害のある量ではないことが言われています。

しかし、市販薬を自己判断で妊婦・授乳婦の方が使用されることは無いようにご注意ください。

医療機関ではどのように使われる?

以上のように、ガスター10は市販の胃薬の中で効果が強く、使用上の注意もそれほど多くないお薬です。では、病院ではどのように使われているでしょうか。

しっかりと胃酸を抑制したいときに

市販薬で最も胃薬としては効果が高いと思われますが、医療用のお薬にはプロトンポンプ阻害薬(略称:PPI)というさらに効果の強いお薬があります。

これらのお薬は胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった病気が診断された時に、ガスターよりも使用頻度が高くなります。

ですが、ガスターもまだ決して処方頻度が少ないわけではありません。PPIでは肝障害が起こることがあり、この際の代替薬にはガスターが使用されることもあります。

また、このPPI以外のお薬と比較すればやはり胃酸を直接抑制する効果は他の胃薬よりも強い胃の保護効果があると考えることができます。

以上より、明確に胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった原因がはっきりしないが、胃もたれや胸やけが他の(PPI以外の)胃薬を使っても改善しない場合に、よく使われています。

認知機能への影響について

一方で、ガスターを長期使用をする場合は認知機能への影響があるといわれています。

特に高齢者への使用はガイドラインの中でも認知機能低下、せん妄を引き起こすリスクがあるため、可能な限り使用を控えることが望ましいとされています。

特に症状が軽い場合は薬が原因の認知機能低下と判断されにくくなります。飲み始めてから以下のような症状がある場合には注意が必要といえます。不安な場合は、医師や薬剤師にご相談ください。

ガスターによる認知機能への影響を疑う症状
  • 注意力低下が目立つ
  • 薬物使用と時間的に関連が疑われる認知機能の変化がある
  • せん妄に類似した症状がある
  • 薬の使用をやめると認知機能障害の改善がある

時間的な関連については飲み始めてから数時間以内または、飲み始めた数日間に起こる認知機能障害の症状です。

また、せん妄では場所や時間がわからない、意識がボーっとする、意味のないまたは意味不明な言葉を発するなどがあります。一番例としてわかりやすいのは寝ぼけている人やお酒で酔いすぎた状態と同程度の意識障害が起こります。

まとめ

  • ガスター10は市販薬では最も胃酸を抑制する効果が強い
  • 病院ではより胃酸を抑制する効果が強い胃薬があるが、今でも広く使用されている
  • 妊婦・授乳婦の方がガスター10を使用した場合は医師への受診を推奨します
  • 腎臓の機能が悪い成人や高齢者には使用しにくい
  • 念のため、使用する際は認知機能の異常等に注意する

参考文献

1、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015(日本老年医学界)

2、超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き「2.認知症」(日本医師会)

3、ガスター10 添付文書

4、ガスターD錠 添付文書

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