自己紹介

初めまして。病院で務める薬剤師のPHALです。

突然ですが、あなたはドラッグストア等で薬を買うときはどのようなことを考えますか。もしかするとそのお薬、あなたには全くあっていないお薬かもしれません。

このブログは現在病院の医薬品情報室で薬の正しい情報収集、評価を行っている私が、市販のお薬の有用性や注意について正確な評価を行い、市販薬の購入者に情報提供したいと思って作りました。

病院の処方は薬剤師による十分な確認が行われます。医師の処方に対して効果と副作用のバランスを評価し、患者さんの状態を見て私たち薬剤師が処方の可否を判断しています。これにより医師が処方したお薬に対しての最終防衛ラインとして機能しています。

しかし、市販薬は確認の目が不十分です。薬を決めるのは購入者であり、登録販売者やドラッグストアで勤務されている薬剤師がその確認をして直接販売します。下にお示しする通り、単純に確認する人の数が少ないです。また、店舗の薬剤師は患者からの聞き取りにより購入可否を判断しますが、当然病院とは異なり採血のデータなどはなく、客観性に劣ります。

  1. 病院内の処方薬の場合
    • 1.患者 ⇒ 2.医師 ⇒ 3.病院薬剤師(1~3人程度) ⇒ (4.看護師) ⇒ 5.患者
    • 確認者の合計 3~6人
  2. 外来の処方薬の場合
    • 患者 ⇒ 2.医師 ⇒ 3.薬局薬剤師(1~3人程度) ⇒ 4.患者
    • 確認者の合計 3~5人
  3. 市販薬の場合
    • 患者⇒ 2.販売者(場合によっては薬剤師) ⇒ 3.患者
    • 合計2人

つまり、購入者は常に市販薬の情報について不利な立場にあり、情報を収集する先は限られているといえます。

このブログはそんな市販薬の情報収集の場として最大限読者の皆さんにご活用いただければ幸いと思って作りました。

このページでは私がこのブログ解説に至った経緯や根拠、その必要性についてお伝えします。

市販薬に対する以前の認識

PHAL
PHAL

また市販薬か…。大変だな。

私は消化器病棟や腫瘍内科病棟などで5年以上病棟の薬剤師として入院患者さんの持参されたお薬の確認や服薬指導を行っていました。

若い方や高齢者に関わらず、病院での処方薬と一緒に、ドラッグストアで購入できる市販薬やサプリメントをご持参の方は多くいらっしゃるため、度々その確認を行うことがありました。

以前、市販薬を見て最初に思うことは冒頭の1行でした。そんなことを考えているなんて薬剤師としてどうなんだという非難はあるかと思いますが、ごめんなさい。正直に言うと私は市販薬にあまりいい印象はないことが多かったです。

それは以下のようなことが原因にあると思います。

  • 患者さん(医療者から見た素人)が自己判断で選んだお薬である
  • 病院には同じ成分の処方薬があり、市販薬は高価である
  • 処方薬より成分の量が少なく、効果に疑問がある
  • そもそも大学では市販薬の勉強はほとんどしないため、病院で務める薬剤師の側に知識が少ない

医療者ではない方が自己判断で薬を買うということは難しいことです。場合によっては薬効が症状に対してあっていなかったり、副作用に対する配慮が欠けていたり、飲み合わせの悪いお薬を使っていたりします。また、長年使っているお薬に愛着を持たれていた場合、入院後に誤った認識の訂正が大変なことを経験します。薬剤師にとってみれば正しい情報提供をする義務感がありますが、患者さんがそれを求めていないことがあると、お薬の説明はとても大変です。

また、私たち病院薬剤師側にも問題があります。大学の薬学部というところでは、市販薬にどんな名前でどのような種類があるかについてはほとんど学びません。皆さんがCMで当たり前のように見ている商品の名前は教科書のほとんどどこにも書いていません。当然、国家試験には出てきません。

そのまま病院で務めると、何が起こるでしょう。患者さんが市販薬を持ってくると、「何だろう、この市販薬?成分や用量を調べなきゃなぁ」と、病院の処方薬を確認するときと比べて一手間必要です。サプリメントになるとなおさらです。病院のお薬のスペシャリストたちは世間の方が思っている以上に市販のお薬については知らないことが多くあります。

このような理由から、当時の私には病棟の業務で市販薬の確認は大変でした。ですが、患者さんとお話しする中でそのポテンシャルや重要性について学ぶことができました。

患者さんとお話しする中で学んだ市販薬の重要性

ご持参された市販薬の確認は大変ですが、病棟で患者さんとそのお薬についてお話しをすると、非常に多くのことを学べました。処方薬よりも、患者さん自身の薬の考え方について分かることが多いです。

多くの場合、日本国内では処方薬に対して患者さんは受動的な立場です。自ら薬を選択される方は非常に少なく、医師の処方に従って使用しています(『コンプライアンス』といいます)。患者さんに対する処方意図は医師に聞くのが最も確実といえます。

ですが、市販薬は医師を介しません。患者自身が購入する中で、自らの症状について自身で考え、市販薬を選択します。その購入に至る症状をご自身でどう捉えたか、すなわち処方意図に当たる部分を患者自身の言葉で聞くことができます。

また、多くの場合、その市販薬を使っている症状は患者さんにとって非常に重要と感じていることがあります。例えば便秘など、医療者から見てすぐに命に関わる重大な症状ではなくても、その方にとってはとても重視している症状であることが多いです。

以上のことから、2つの点で市販薬は購入者の今後の治療について非常に重要な意味があります。

  • その市販薬を選択する主体は購入される方にあり、薬に対するその方の理解度がわかる
  • 市販薬購入が必要と感じた症状はその人にとって非常に重要な症状であることが多い。

患者さんが抱える市販薬の問題点

一方で病棟での患者さんの中には、ご持参された市販薬について理解不十分なまま使用されていることがあります。薬の説明書以上の錠数を使用していたり、飲むタイミングを誤っていたり、現在飲んでいる薬との飲み合わせがよくなかったり、中には症状に合わないお薬を飲んでいることもあります。

これらの認識間違いは多くの不利益があります。

  • 不要な副作用をつくりだす
  • 使用する薬がムダに増える
  • そもそも薬の購入自体が誤った判断であり費用がもったいない

こういった問題の解決のためには何が必要か考えたとき、問題の発生時点とその理由を考える必要があります。

問題の発生時点は単純です。市販のお薬を買うその瞬間です。当たり前の話ですが、長い目でみるとこの発生時点は非常に重要です。入院される患者さんが抱える薬の問題は入院時点ではすでに完成していることが多いです。この解決のためには市販薬を正しい知識で買うことが必要です。

では、理解不十分に陥る理由は何でしょう。多くの場合、薬の購入者は客観的な医療の知識よりも自らの経験を大切や周囲の評価を大切にして薬を購入します。自らの経験や周囲の評価は、多くの場合専門家ではありません。しかし、単純に客観的な医療の知識について提供される機会が少なく、これは大きな問題です。

以上の理由から、このブログでは正しい知識を購入者が能動的に取得できることを目的としています。

お薬を適正に評価する

現在、私は5年以上の病棟勤務ののち、病院の医薬品情報室という部署で働いています。医師や薬剤師、看護師の院内におけるお薬の質問は私たち医薬品情報室で徹底的に調べ上げて回答をします。例えば以下のような質問があります。

  • 何らかの理由で現在使用しているお薬が使えない。代わりのお薬はどれをどのくらいの量で使う必要があるか
  • 腎臓や肝臓の機能が極端に悪い患者にお薬の量をどの程度調整する必要があるか
  • 10種類以上薬を飲んでいる患者の薬の飲み合わせを調べてほしい

また、まだ日本国内で患者に投与されたことがない新薬について、情報収集するのも私たちの仕事です。国内で発売に公開されている資料はもちろん、時には海外で使用された情報などを網羅的に収集・評価し、今後投与されるべき患者や投与後に起こりうる副作用について事前に調べ上げます。結果として、発売されたばかりのお薬についてはその時点では医師や他の薬剤師よりも詳しくなります。

このような、お薬の情報や評価について、これまで私はそれを市販薬を対象にしたことはありませんでした。しかし、入院後の薬の問題の内、市販薬が原因となるものが少なくないことを体験として実感しています。

私が日常的に行っているお薬の情報収集と評価、およびそれを加工、発信することを市販薬に対して行うことで、購入する方々の薬剤理解を高め、後々起こりうる薬剤の問題を予防できるのではないかと考えています。

市販薬への正しい知識提供が生み出す効用

このブログによる情報提供で、以下のようなことを読者の方ができるようになって欲しいと思います。

  • 自分の症状に対して必要な薬がわかる
  • 複数ある同じ効果の薬の中から、最適なお薬を選択できる
  • その薬の効果や副作用について、その根拠が理解できる

これらの正しい理解は決して素人の方が自力で情報収集を行うことは容易ではないと思います。ですが、このブログの各項目を読んでいただければ、専門的な知識がなくても、自然と理解できるよう最大限の努力をしたいと思います。

このブログの読者の方の市販薬の選択に有効に利用され、将来起こりえるかもしれない薬のトラブルが最大限未然に防げることを望みます。

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