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こんにちは!
薬剤師のAutmです!
花粉症や鼻炎などの症状に抗ヒスタミン薬を処方されたり買ったりして飲んだことのある人は多いと思います。その中でもアレグラFXは特に有名で国内の売上でも常に上位に入っているため、知っている人は多いのではないでしょうか。
そんな抗ヒスタミン薬として大人気のアレグラFXですが、その効果はきちんと実証されているものなのでしょうか? またアレグラFXを飲むにあたって副作用など注意するポイントはあるのでしょうか?
- アレグラFXの効果は? 病院ではどう使われている?
- アレグラFXは眠気は起きやすいの?
- アレグラFXを飲むにあたって注意点はある?
今回はアレグラFXに対してこのような疑問をお持ちの方のために、このお薬の特徴について解説していきます。
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目次
はじめに
つらいくしゃみや鼻水に
そんなフレーズでアレグラFXは花粉症やアレルギー性鼻炎の方にとってはなくてはならない薬です。医師の処方薬のみならず市販薬としても日本では広く親しまれているおなじみの薬となっていますよね。
さて、花粉症の症状が出てお薬を買うときに、あなたは普段どのように選んでいますか?
他にも同じ効能・効果のお薬がたくさんある中で、なんとなく名前を聞いたことがあるという理由で選んでいませんか?
つらい症状を抑えてくれる薬。しっかりと効果や副作用、使用上の注意点を理解して、確信をもって自分に合ったものを選びたいですよね。
そこで、今回は花粉症やアレルギー性鼻炎に用いられる「抗ヒスタミン薬」のアレグラFXについて誰でもしっかりと効果や副作用を理解して選べるように解説していきたいと思います。
アレグラFXを買うべきなのはこんな人
結論から言うと、アレグラFXを買うべきなのは次のような人です。
- 眠気が少ない抗ヒスタミン薬が欲しい人
- 1日3回飲むのは飲み忘れが心配という人
- 速効性がある薬がいいという人
これらについて詳しく説明していきます。
アレグラFXの用法用量・効能効果
1回1錠 1日2回朝夕
花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻水、鼻づまり
アレグラFXの効果を薬学的に検証
アレグラFXは主にくしゃみや鼻漏型のアレルギーの治療薬として位置付けられています。
- 速効性があり、効果が持続する
- 副作用(眠気、作業効率の低下など)が少ない
- 長期投与できる(安全性)、投与回数が1〜2回でアドヒアランスがよい
ガイドラインには、理想的な抗ヒスタミン薬の条件として上記3つが挙げられています。
これらの条件についてアレグラFXを当てはめてみましょう。
速効性があり、効果が持続する
結論から言うとアレグラFXは速効性と持続効果に優れた抗ヒスタミン薬と言えます。
速効性は最高血中濃度到達時間、効果の持続は血中濃度半減期というパラメータでそれぞれ判断することができます。
各パラメータの意味を説明すると、
最高血中濃度到達時間はその名の通り血液中の薬の濃度が最高になるまでの時間
血中濃度半減期は血液の中の薬の濃度が最大から半分になる時間
を表しています。
つまり、最高血中濃度到達時間が早いほど薬の効果が出るのが早く、血中濃度半減期が長いほど薬の持続効果が優れているということですね。
そこでアレグラFXの各パラメータを見てみましょう。
- 最高血中濃度到達時間:約2時間
- 血中濃度半減期:約9時間
第二世代の抗ヒスタミン薬はだいたいどれも最高血中濃度到達時間(血液中の薬の濃度が最高になるまでの時間)は0〜3時間の間に収まっているものが多いです(長いものもあります)。
アレグラFXは約2時間なので、データとしては速効性に優れると言えるでしょう(どのタイミングで飲むのが良いかについては後述します)。
血中濃度半減期(血液の中の薬の濃度が最大から半分になる時間)は製剤によってばらつきがあります。
それぞれ服用回数が違うのでどれが優れているというわけではないですが、アレグラFXは血中濃度半減期が約9時間であるため、十分持続性があると言えるでしょう。
上記2点をまとめるとアレグラFXは速効性と持続効果に優れた抗ヒスタミン薬と言えます。
副作用(眠気、作業効率の低下など)が少ない
詳細については後述しますが、アレグラFXは眠気の少ない抗ヒスタミン薬として位置付けられています。
長期投与できる(安全性)、投与回数が1日1〜2回でアドヒアランスがよい
アドヒアランスとは「患者が納得して自分の意志で行う」ことを表す単語で、アドヒアランスがよいとは、患者の自己判断で服薬中止や不規則な服薬が行われることがないことを表します。
投与回数についてはアレグラFXは1日2回の服用なので飲み忘れも起きにくい、アドヒアランスがよい薬剤と言えそうです。
安全性についてもアレグラFXの添付文書には「4週間を超える長期投与症例174例において副作用は認められなかった」との記載があり、安全に長期服用できると言えるでしょう。
ただ、1週間を超えても症状の改善が見られない場合は他に原因があることも考えられるので医師や薬剤師に相談するようにしてください。
まとめ
- 速効性があり、効果が持続する
- 速効性がある◯ 効果が持続する◯
- 副作用(眠気、作業効率の低下など)が少ない
- 少ない◯
- 長期投与できる(安全性)、投与回数が1〜2回でアドヒアランスがよい
- できる◯ アドヒアランスがよい◯
まとめると、アレグラFXは理想的な抗ヒスタミン薬の条件を全て満たす薬と言えそうですね。
アレグラFXの安全性
さきほど軽く触れたアレグラFXの眠気について。
結論から言うと、アレグラFXは抗ヒスタミン薬のなかでも特に眠気が少ない薬であると言えます。
抗ヒスタミン薬は脳内のヒスタミンH1受容体の占拠率(全体のうち占める割合)がそれぞれ異なり、ヒスタミンH1受容体占拠率50%以上が鎮静性、50〜20%が軽度鎮静性、20%以下が非鎮静性とされています。
これらはそれぞれの抗ヒスタミン薬の眠気などの中枢神経抑制作用の強さを知ることのできる1つの目安となります。
第一世代の抗ヒスタミン薬はどれも占拠率が50%以上と鎮静性であり、中枢神経抑制作用が強いことが問題となっていました。
では、第二世代の抗ヒスタミン薬であるアレグラのヒスタミンH1受容体占拠率はどのくらいなのでしょうか?
こちらの図をご覧ください。
アレグラを赤字で示しています。
この図によると、アレグラFX(フェキソフェナジン)は抗ヒスタミン薬のなかではかなりヒスタミンH1受容体占拠率が低いことがわかります。
このことから考えると、アレグラFXは抗ヒスタミン薬のなかで眠気が少ない薬剤と言って差し支えないと言えるでしょう。
高齢者は加齢に伴い身体機能が低下しており、中枢神経抑制作用が転倒やそれによる骨折に繋がることが懸念されます。そのため、高齢者の服用においては転倒リスクを避けるため、眠気が起きにくい抗ヒスタミン薬を選ぶことが重要になります。
その点において、アレグラFXは上述したように眠気が起きにくく、高齢者でも安心して服用できる抗ヒスタミン薬と言えるでしょう。
アレグラFXの4つの注意点
アレグラはフルーツジュースと一緒に飲むことで効果が弱くなってしまうことが報告されています。
ここで言うフルーツジュースとはグレープフルーツジュースやオレンジジュース、アップルジュースのことです。
これらと一緒にアレグラを飲むことで、アレグラの効果が60〜70%も落ちてしまいます。
そのため、アレグラFXに限らずお薬を飲むときはできるだけ水で飲むようにしましょう。
アレグラを水、グレープフルーツジュース、オレンジジュース、アップルジュースと一緒に飲んだときの血液中のアレグラの濃度を測定した試験では、アレグラの血中濃度-時間曲線下面積(簡単に言うとアレグラの血液中の濃度のことです)は水とともに服用した場合と比較して60〜70%も低下してしまったそうです。
よく薬との相互作用が問題となるグレープフルーツジュースだけではなく、オレンジジュース、アップルジュースでもです。
その理由としては、消化管から細胞に薬を取り込むOATPという輸送体(アレグラを体の中に運ぶトラックをイメージしてみてください)のはたらきがフルーツジュースによって阻害されるために、消化管からの吸収が減少してしまうからとされています。
アレグラFXだけで効果がないからと言って、他の抗ヒスタミン薬も買って一緒に飲むことは副作用や相互作用が出る危険性があるためやめましょう。
医師の処方では抗ヒスタミン薬を2種類併用することは無くはないのですが、個人の判断ではせず、医師や薬剤師に相談するようにしてください。
水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム
制酸剤である水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムと併用した場合、フェキソフェナジン(アレグラ)の血中濃度が低下し、作用が減弱する可能性があることが報告されています。
報告によると併用によりフェキソフェナジン(アレグラ)の濃度が40%ほど低下してしまったようです。これには水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウムによる薬剤の吸着が関与している可能性が示唆されています。
市販薬で水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウムを含有している主な製品を挙げておくため、これらを服用している人は服用時間をずらすなど注意するようにしてください。
- 水酸化マグネシウム
- ミルマグ液
- 水酸化アルミニウム
- バファリンプラスS
- メディペイン
- マリジンAグリーン
また、アルミニウムやマグネシウムを含むその他の制酸剤については、現在のところ影響は報告されていないようですが、同じような相互作用が出る可能性は否定できません。そのため、できればそれらも服用時間をずらすなどしていただくほうが望ましいと言えるでしょう。
こちらも代表的なものを挙げておきます。
- 酸化マグネシウムE便秘液
- コーラックMg
15歳未満(7〜14歳)にはアレグラFXジュニアという小中学生用の市販薬が発売されています。大人用と同じ成分なのでそちらを購入するようにしてください。
アレグラFXに関するよくある質問
実際に患者さんからよくある質問について解説します。
ガイドラインでは、毎年花粉症の症状が強い人には花粉飛散開始予測日または症状が少しでも現れた時点で開始することが推奨されています。
3年間全国多施設研究で第2世代抗ヒスタミン薬による初期療法のオープン試験を行ったところ、初期療法群で有意に症状を抑えていた。
一方で、花粉オフシーズンに曝露室を利用した臨床研究では、花粉飛散後すぐに第2世代抗ヒスタミン薬を内服すればプラセボよりも有意に症状を抑え、1週間前から継続して初期療法を行った群とは有意差を認めなかった。
鼻アレルギー性診療ガイドライン2020
上記はガイドラインの記載ですが、初期療法をする(花粉症が飛散してから抗ヒスタミン薬を服用する)と、初期療法をしない(症状がひどくなってから抗ヒスタミン薬を服用する)よりも症状が抑えられるということが示されています。
毎年花粉症の症状が強くて不安な人は実際に症状が起きてから、ひどくなってから服用するのではなく花粉飛散開始予測日から内服するようにしましょう。
上述したように速効性があるため痒いときだけ飲んでも効果は期待できます。
しかし花粉症に対しての服用で、毎年症状が強く不安な人は花粉飛散開始前に抗ヒスタミン薬を飲み始めて期間中は続けて飲むのがオススメです。
それは、抗ヒスタミン薬は「インバース・アゴニスト」としても働くことが知られているからです。
少し難しいので詳しい説明は省きますが(興味のある方は調べてくださいね)、花粉飛散前から抗ヒスタミン薬を服用するとシーズン中の鼻症状が現れにくいのは、この「インバース・アゴニスト」の作用によると考えられています。
一般的に抗ヒスタミン薬は眠気が起きやすいものが多く、中には自動車の運転をしてはいけないと添付文書に記載されているものもあります。
よく自動車を運転する方にとって、それはできるだけ避けたいですよね。
しかし、上述したようにアレグラFXは眠気が起きにくい抗ヒスタミン薬であり、お薬の説明書(添付文書)にも自動車の運転に関する記載はありません。
また、国土交通省の発行している「航空機乗組員の使用する医薬品の取扱いに関する指針」には抗ヒスタミン薬について次のように書かれています。
過去の使用経験により、眠気・集中力低下等の副作用が無いことが指定医又は乗員健康管理医によって確認されなければならない。ただし、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン及びビラスチン以外の内服薬を使用後は少なくとも通常投与間隔の2倍の時間(1日3回の服用が指示される場合は16時間、1日2回の場合は24時間、1日1回の場合は48時間)は航空業務に従事してはならない。
航空機乗組員の使用する医薬品の取扱いに関する指針
パイロットは飛行機の操縦中に眠気が起きると大変なので薬の影響が絶対起きないように投与間隔を空けなければ(1日1回なら48時間も!)業務に従事してはならないとかなり厳しめの規定が定められています。
ただし、例外として4つの薬が挙げられており、そのうちの1つにアレグラ(フェキソフェナジン)があります。
アレグラは眠気が起きにくいため、飲んだ直後でも飛行機を操縦しても良いということですね。
これらのことを考慮すると、アレグラFXを飲んでいるときに自動車を運転しても問題ないと言えるでしょう。
ただ、上の指針にも「過去の使用経験で眠気・集中力低下の副作用が無ければ」とあるように、添付文書に自動車運転の注意喚起の記載がない抗ヒスタミン薬においても、臨床試験で眠気を訴えた患者がいるとの報告があります。そのため、アレグラは眠気が起きにくいとはされていますが、自動車を運転する際は運転中の眠気には十分に注意するようにしてください。
アレグラFXの薬の説明書(添付文書)には服用するタイミングは「1日2回朝夕」と書かれています。食後に飲んでほしい薬であれば「朝夕食後」と書かれるはずなので、アレグラFXは食事に関係なく飲んで良い薬ということです。
では、食後と空腹時ではどちらのほうが効果が出るのでしょうか?
今度は医療用のアレグラのお薬の説明書を見てみましょう。このような記載があります。
健康成人男子22例にクロスオーバー法で、空腹時及び食後(高脂肪食)にフェキソフェナジン塩酸塩錠120mgを単回経口投与したとき、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ15%及び14%減少した。
アレグラ 添付文書
噛み砕いて言うと、食後にアレグラを服用すると空腹時に服用することに比べて効果が15%ほど落ちてしまうということを示しています。
これは外国人でのデータですが、日本人でも同じような結果が出ているそうです。
15%という値が薬の効果にどの程度影響するのかはわかりませんが、薬の効果を最大限に発揮したいという方は食後に飲むのではなく、食事の前などの空腹時に飲んでみることをオススメします。
アレグラFXのまとめ
- アレグラFXの効果検証
- アレグラFXは理想的な抗ヒスタミン薬の条件を全て満たしている
- アレグラFXは眠気が起きにくく、高齢者にも安全に使用できる
- 4つの注意点
- フルーツジュースと一緒に飲むのはダメ
- 他の抗ヒスタミン薬との自己判断での併用は避けましょう
- 水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウムを含む薬と一緒に飲むのもダメ
- 15歳未満(7〜14歳)の子どもにはアレグラFXジュニア
- 眠気が少ない抗ヒスタミン薬が欲しい人
- 1日3回飲むのは飲み忘れが心配という人
- 速効性がある薬がいいという人
おすすめ商品
アレグラFX
参考文献
- 鼻アレルギー診療ガイドラインー通年性鼻炎と花粉症ー2020年版
- 慢性蕁麻疹ガイドライン2018
- 黒野祐一(2016)「鼻アレルギー診療ガイドラインー通年性鼻炎と花粉症ー2016年版(改訂第8版)ー抗ヒスタミン薬使用のポイントー」アレルギー 65(8), 982-986
- 堀美智子, 国重敦子(2009)「第14回 フェキソフェナジン塩酸塩」調剤と情報 15(2): 203-212
- Dresser GK et al : Fruit juices inhibit organic anion transporting polypeptide-mediated drug uptake to decrease the oral bioavailability of fexofenadine. Clin Pharmacol Ther, 71 (1) : 11-20, 2002