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便秘がつらい
「お腹にやさしい非刺激性」「クセになりにくい」の宣伝文句で有名な酸化マグネシウムE便秘薬。
早速ですが、結論から言うと酸化マグネシウムE便秘薬を選ぶべき人は次のような人です。
- とりあえずまず何か便秘薬を試してみたい人
これについて詳しく説明していきます。
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目次
酸化マグネシウムE便秘薬を選ぶべきはこんな人!薬の特徴について解説
酸化マグネシウムE便秘薬の概要
・便秘
・便秘に伴う次の症状の緩和:頭重、のぼせ、肌あれ、吹出物、食欲不振(食欲減退)、腹部膨満、腸内異常醗酵、痔
酸化マグネシウム 333mg(1錠中)
次の量を就寝前(又は空腹時)に水又はぬるま湯で服用してください。
ただし、初回は最小量を用い、便通の具合や状態をみながら少しずつ増量又は減量してください。
- 年齢:大人(15歳以上)
1回量:3~6錠
1日服用回数:1回 - 年齢:11歳以上15歳未満
1回量:2~4錠
1日服用回数:1回 - 年齢:7歳以上11歳未満
1回量:2~3錠
1日服用回数:1回 - 年齢:5歳以上7歳未満
1回量:1~2錠
1日服用回数:1回 - 年齢:5歳未満
服用しないでください
「お腹にやさしい非刺激性」とは?
便秘薬は「刺激性」と「非刺激性」の2つに大きく分けることができます。
ものすごく簡単に両者の違いを説明すると「刺激性」はお腹を刺激して排便を促す作用があり、「非刺激性」はお腹を刺激しないで排便を促します。そのまんまですね。
「非刺激性」は少し専門的な言い方では「浸透圧性」と呼ばれています。
酸化マグネシウムはこの「浸透圧」の作用で便に水分を与えて排便を促す作用があります。
「浸透圧」については詳しく説明すると長くなってしまうので、今回はイメージをイラストで表現してみました。
魔法使いの子が体内で酸化マグネシウムの変化した姿で、腸壁から水分を引き寄せた結果、便が柔らかくなっています。
便が引き寄せられた水分によって膨張することで、排便が促進されるわけです。
そのため、酸化マグネシウムは「お腹に優しい」とされているのですね。
(吉田製薬 酸化マグネシウム細粒83%「ヨシダ」パンフレットより引用)
「クセになりにくい」とは?
非刺激性の便秘薬はクセになりにくいと言われますが、それは比較対象の刺激性の便秘薬がクセになりやすいからです。
では、クセになりやすいとは一体どういうことなのでしょうか?
刺激性の便秘薬の代表格であるセンノシドの薬の説明書(添付文書)には次のように書かれています。
連用による耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになることがあるので長期連用を避けること。
センノシド錠 添付文書
簡単に言うと連用する(毎日続けてずっと使う)と、徐々に耐性ができて薬が効きにくくなるため、量を徐々に増やさざるを得なくなるというループに陥ってしまうことになります。
これを一言で「クセになる」と表現しているのですね。
効かなくなったら増やせばいいんでしょ?
別にそれで良くない?
こう思う人もいるかもしれません。
確かに量を増やして解決するのであればそれで良い気もしますがそうはいきません。
このクセになった状態を医学的には「大腸メラノーシス」と言います。
アロエ、センナ、大黄(漢方も含みます)などを含む下剤は、飲むとすぐ効果が出るため、愛用者も多く一般的に使用されています。ただし長く常用していると、大腸メラノーシス(大腸の表面が黒くなる状態)が発症し、腸が動かなくなり、伸び切ってしまうことがあります。このような下剤は、常用はやめて短期間の使用で頓服として使用しましょう。
長野県医師会HP(http://www.nagano.med.or.jp/general/project/topics/detail.php?id=498)より
効かなくなるというのはどういうことかというと、大腸が黒くなって伸び切ってしまって動かなくなるということなんですね。
この大腸メラノーシスには大腸ポリープや大腸がんとの関連性も指摘されています。
ただ、可逆性であり(元に戻るということ)原因である刺激性下剤をやめると回復すると言われているため、上記引用のように頓服としての短期間の使用が推奨されています。
そんな「クセになりやすい」刺激性下剤に対して、酸化マグネシウムなどの非刺激性の便秘薬はクセになりにくいです。
そのため、刺激性の便秘薬よりも非刺激性の便秘薬のほうをまず使用することが広く勧められています。
病院ではどのように使われている?
酸化マグネシウムE便秘薬は医療用医薬品の「マグミット錠」「酸化マグネシウム錠」などと同じ成分であり、含有量もほとんど一緒です。
国内外のガイドラインで第一選択として初めに使うことが推奨されているのは「浸透圧性」である酸化マグネシウムなので、病院でも便秘を訴える入院患者にはまず酸化マグネシウムが処方されることが多いです。
便秘のなかでも特に硬い便の患者には効果があり、基本的にはこの酸化マグネシウムの量を調節しながら便秘をコントロールしていきます。
副作用や併用してはいけない薬などはある?
酸化マグネシウムはその名の通り成分中にマグネシウムを含んでいます。
長期間服用している人や、高齢の人、腎機能の悪い人などでマグネシウムが体の中に溜まる「高マグネシウム血症」の副作用が報告されています。
高マグネシウム血症は吐き気や低血圧、全身倦怠感などが初期症状として報告されています(最悪のケースでは意識障害や心停止にも繋がります)。もしこれらの症状が現れたときは飲むのを止めて病院に行くようにしてください。
病院ではこれらの患者さんに酸化マグネシウムを投与する際は、血液検査で血中のマグネシウムの量を測定することもあります。
また、腎機能が正常であったり普通の人でも起きる可能性はあるので、非刺激性下剤はクセになりにくいとは言えど、不必要に長期で服用するのは避けるほうが無難と言えます。
酸化マグネシウムE便秘薬の薬の説明書(添付文書)には記載はありませんが、ある種の抗菌薬(抗生物質)など特定の薬と一緒に飲むことで、その薬の効果が落ちてしまう事例が報告されています。
その理由もあって、酸化マグネシウムE便秘薬の説明書(添付文書)には就寝前(または空腹時)に服用することとされているのだと思います。
就寝前(または空腹時)の服用であれば他の薬と干渉する可能性は低いため基本的には問題なさそうですが、心配な場合は薬剤師に相談するようにしてください。
妊婦、授乳婦でも服用できる?
マグネシウムはもともと体の中に存在するものなので、過剰摂取などをしなければ安全とされています。[1]
マグネシウムは消化管からほとんど吸収されないため、基本的には安全とされます。[2]
その他の浸透圧性の便秘薬
・コーラックMg(酸化マグネシウム1錠中330mg)
・錠剤ミルマグLX(酸化マグネシウム1錠中350mg)
・3Aマグネシア(酸化マグネシウム1錠中330mg)
酸化マグネシウムの含有量に若干の違いはありますが、どれもほとんど同じと考えて良さそうです。
まとめ
- 酸化マグネシウムはお腹に優しい浸透圧性下剤
- 酸化マグネシウムはクセになりにくい
- 病院でも便秘薬の第一選択薬として広く用いられている
- 高マグネシウム血症の副作用には注意が必要
- 併用しないほうがいい薬もあるので基本は就寝前や空腹時に服用
- 心配なら薬剤師に相談してください
- 妊婦、授乳婦でも服用できる
非刺激性(浸透圧性)の便秘薬である酸化マグネシウムE便秘薬の特徴や副作用について解説しました。
【必読】ちょっと待って!便秘薬を飲む前に試してほしい8つのことこちらの記事では便秘薬を飲む前に試してほしいことについて説明しています。
これらを試した上で効果がなければ、酸化マグネシウムE便秘薬など非刺激性(浸透圧性)の便秘薬を試してみても良いと思います。
参考文献
- 伊藤真也、村島温子(2014)「薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳(改訂2版)」南山堂
- 大分県地域保健協議会大分県「母乳と薬剤」研究会編(2017)「母乳とくすりハンドブック(第3版)」大分県地域保健協議会
- 酸化マグネシウムE便秘薬 添付文書
- マグミット錠 添付文書
- コーラックMg 添付文書
- 錠剤ミルマグLX 添付文書
- 3Aマグネシア 添付文書